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【連載:第1回】「フェアトレードの10の指針」から

ピープル・ツリーも加盟する世界中のフェアトレード組織の連合体、WFTO(世界フェアトレード機関)は、フェアトレード団体が活動の際に順守すべき10の指針を定めています。

フェアトレードをするうえでもっとも重要な10の指針について、今回から1つずつ、焦点を当てていきたいと思います。フェアトレード初心者の方も、すでに熟知している方も、あらためて、フェアトレードがもたらす変化について見つめ直す機会にしていただければ幸いです。

1. 生産者に仕事の機会を提供する

社会的に弱い立場に置かれた小規模の生産者が不安定な収入や貧困から脱し、経済的に自立することを支援します。

フェアトレードとは「人と地球にやさしい貿易のしくみ」。途上国の生産者とのものづくりや取引をつうじて、より多くの仕事をつくり出し、公正な対価を支払うことで生産者の自立を支援します。

でも、そもそもどうして仕事をつくり出して支援する必要があるのでしょうか?

世界中、なかでも途上国には、失業率が30〜40%を超えるような国が多数あります。(ちなみに、こちらのCIAの資料では、ジンバブエの失業率は95%となっています。)仕事がないということは、毎日の衣食住や子どもの教育、家族の生活にかけるお金が手に入らないということ。貯金をしたり、将来の計画を立てたりすることも難しくなります。

仕事のない人たちが怠けているのかと言えば、多くの場合、そうではありません。働きたくても仕事がない、ということが多いのです。社会的な慣習から女性が仕事に就くことが難しい地域や、農村には仕事の機会が少ないため都市部に出稼ぎに行く、というケースもたくさんあります。また、仕事に就けても、生活賃金に満たないほどの低い賃金で働いていることもあります。フェアトレードでは、特に農村部の、社会的に弱い立場に置かれた人びと−たとえば、女性、障害を持つ人、社会階層から差別を受けている人など−といっしょに商品を開発し、つくることで、つくり手が人間らしい生活を送るのに十分な賃金を得られるよう、そのしくみをつくっています。


バングラデシュの農村で活動する生産者団体「タナパラ・スワローズ」はそのいい例です。農村では現金収入の機会がとても限られているため、子どもや家族を置いて首都ダッカまで働きに行く人が絶えませんでした。スワローズのフェアトレードのプロジェクトが拡大するにつれて、村に残り家族と暮らしながら仕事をする女性が増えています。今では200人以上の女性が、村で働き、家族の生活を支えています。暮らし慣れた村で、野菜を育てニワトリを飼いながら、手織りや手刺繍の仕事をして家族を支えることができるのです。子どもたちはスワローズが運営する学校に通うことができ、中には、看護婦や教師など高等教育が必要とされる仕事に就いた人もいます。安定した収入があることで、子どもの教育に投資し、家の改築など将来の計画を立てることができるようになります。


タナパラ村の子どもたち

人の手という、この世界でもっとも豊富な資源のひとつを使い、ピープル・ツリーはアジア、アフリカ、中南米のフェアトレード団体とものづくりをし、4,000人以上が働く機会をつくっています。それは、お客様が継続的に商品を買ってくださってこそ、成り立っているものです。

生まれ育った村に家族と住み、自分の手を使って収入を得る、という誇り

自分の手を使い、スキルを活かして生活の糧を得、家族を支えることは、誇りや尊厳を意味します。一過性の援助だけでは、貧困問題の根本的な解決にはつながりません。チャリティではなく、対等なパートナーとして貿易をすることで、つくり手が自立することを支援するのがフェアトレードです。

Photos: Miki Alcalde