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コットンキャンペーン:WTO閣僚会議に向けて

イギリスのピープル・ツリーとTraidcraftは、現在開催中のWTO(世界貿易機関)の閣僚会議に合わせ、アメリカの自国コットン農家への補助金の中止を求めアフリカのコットン農家を守る署名キャンペーンを展開し、ポジション・ペーパーを発表しました。

このキャンペーンのために特別につくられたドレス。 Rim Petros, ‘Petra’ of Leni’s Ethical Model Agency

■ コットンの抱える問題

アメリカ政府は、自国のコットン農家に毎年巨額の補助金を出しています。過去10年の間にも、310億ドルが支払われました。

補助金によって、コットンの国際価格が大きく歪められています。アフリカの何百万もの農家が、公正な価格の支払いを受けることができず、生計を立てることが難しくなっています。

アメリカのコットン補助金に対して、79カ国が遺憾を表明し、補助金措置の一部はWTOにより不法と裁定されました。

アメリカの補助金措置がなくなれば、コットン栽培で生計を立てているアフリカのコットン農家は2億5000万ドル多く収入を得られるようになります。


アメリカのコットン補助金のために、何百万人ものアフリカのコットン農家は公正な対価を得ることができていません。

■ 私たちにできること

フェアトレードコットンを使った製品の購入。そうすることで、コットン農家は公正な価格、よりよい労働条件や割増金の支払いが受けられるようになり、コミュニティや農園に投資することができます。ピープル・ツリーの衣料品の半分以上は、フェアトレード&オーガニックのコットンを使用しています。

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■ アメリカのコットン補助金

  • 過去10年間に、アメリカ の26万5千の農家が合わせて310億米ドルの補助金を受け取っていますが、その30%をわずか10の農場で占めています。
  • 西アフリカの農家が1ポンド(453g)のコットンを生産するのにかかる費用は0.35米ドルですが、アメリカのコットン農家が同じ量を生産するには0.80米ドルかかります。しかし補助金のせいで、アフリカのコットン農家は貿易で競争力を持つことができません。
  • 79の途上国が、アメリカのコットン政策に対し遺憾を示しています。

■ ポジションペーパー全文(ピープル・ツリー、Traidcraft作成、WFTO承認)

コットン、綿布及びWTOに関するWFTO(世界フェアトレード機関)のポジション・ペーパー
2011年12月の第8回WTOジュネーブ閣僚会議に向けて

グローバルな産業であるコットンは、政治的・経済的利害の影響を強く受けています。現在、コットンを生産している国は90以上、加工をしている国は160以上にのぼります。

開発
コットンや綿織物は、途上国にとってとても重要な産業です。コットンは世界で経済的にもっとも貧しい数カ国にとって主要な輸出農産物であり、多くの途上国が経済を織物加工に依存しています。コットンはこのような国々の経済や生活を支える、極めて重要な役割を果たしており、貧困をなくすための施策を考えるとき、欠かすことのできない要素となっています。

価格の下落
さまざまな要因によって、コットンの価格は激しく変動します。ICAC (International Cotton Advisory Committee: 国際綿花諮問委員会)によると、現在コットンの価格は上昇傾向にあるものの、インフレを考慮に入れて長期的に見れば、過去60年間最低レベルにあります。( ※i )

コットンは国や地域、世界規模それぞれで適切なサプライ・マネージメントが実施されておらず、生産過剰な状態が続いています。輸出割り当てや、農地を多品目生産やコットン以外の農産物生産に割り当てるといった方法が、需要と供給のバランスを取ることを可能にします。

コットンの価格が大きく歪められているのは、農業補助金によって生産がさらに奨励され、生産価格を下回る価格で販売されていることも要因です。過去10年間に、アメリカの26万5千の農家が合わせて310億米ドルの補助金を受け取っていますが、その30%をわずか10の農場で占めています。( ※ii ) 国際NGOのオックスファムは、そのような補助金が廃止されれば、アフリカのコットン農家は現在より12%多い収入を得られると試算しています。( ※iii ) ただし、現在の供給過剰な状況を見直さない限り、輸出補助金の廃止だけではコットン価格の上昇および安定を保障することはできません。

WTO(世界貿易機関)紛争調停委員会は、ブラジルが提訴した訴訟で、アメリカのコットン補助金措置の一部は国際貿易ルールに反するとの裁定を出しましたが、依然として補助金措置はなくなっていません。ブラジルが自国農民の損失を取り戻すための報復措置を一時的に延期した代わりに、アメリカはブラジルのコットンについても補助金を出しており、解決策は間もなく行われる米国農業法案改定プロセスまで棚上げとなっています。

もう一つ見落としてはならないコットン価格下落の大きな要因が、化学繊維との競争の激化です。

西アフリカでは、1,000万以上の世帯がコットン栽培によって生計を立てています。多くの農家にとって、コットンは収入を得るために必要不可欠な「換金作物」となっています。

コットンは多くの途上国、とりわけ「コットン4(ベニン、ブルキナファソ、チャド、マリ)」の経済にとって極めて重要な作物です。これらの国々は、世界中でもっとも貧しい国に数えられており、アメリカより効率のよいコットン生産を行っています。ベニンの農家が1ポンド(453g)のコットンを生産するのにかかる費用は0.35米ドルですが、アメリカのコットン農家が同じ量を生産するには0.80米ドルかかります。しかし(補助金のせいで)アフリカのコットン農家は貿易で競争力を持つことができません。

健康と環境
コットンの栽培が環境に与える影響は、水の使用においても農薬の使用においても、非常に大きなものです。フェアトレードは、病害虫の総合的な管理や有機農業、細流灌漑に長期的に投資することが、環境負荷を減らし公正な価格で農家を支援することにつながると証明しています。

WT0(世界貿易機関)閣僚会議
ドーハ・ラウンドの貿易交渉が行き詰っている現状で、コットンについての施策などを含む貧困国への救済措置が宙に浮いており、12月に開催される閣僚会議で話合われることになっています。閣僚たちは、グローバルな貿易を広めることで世界のもっとも貧しい国を救うことができるという、10年前に始まった同じ議論を復活させる、というのです。

WTOは何度も何度も、コットンの不公平の問題について早急に対処しなければならないとの宣言を採択してきました。しかし実際の対応は行われておらず、多国間貿易システムが最貧国にとって有効なのかという疑問の声が上がっています。

ドーハ・ラウンドが始まってすでに10年が経っています。コットン農家たちは待ちくたびれています。

私たち、WFTO (世界フェアトレード機関)の加盟団体は、WTO加盟国に対し、以下を求めます。

  1. LDCs(後発開発途上国)の救済に向けて、コットン補助金を早急に凍結するなど、実効性がある措置について合意すること。
  2. アメリカに対し、WTOによるコットン規制を遵守し、途上国およびLDCsの要求にしたがい、農業法案で補助金をさらに削減するという宣言を出すよう要求すること。
  3. LDCsが自国のコットン市場を保護し、ひいては小規模コットン農家の生活を守る権利を認識すること。
  4. LDCsがコットン価格を安定させるための基金を設立すること。
  5. WTO加盟国が国営貿易会社について質問事項に答えるというWTOのルールを、すべての公営、私営の大企業に拡大し、透明性と供給管理の改善をはかること。
  6. 遺伝子組み換え作物やその他の安全性の問題について、国益のために政府が規制を適用する権利を認識すること。
  7. コットン生産国に技術援助や資金援助を行い、持続可能なコットン生産に向けて有機栽培、フェアトレード、付加価値を高めた地場産業を最大限に伸ばすようこの産業を再編成すること。
  8. 政府の購買政策(国、地方政府レベルで)が持続可能かつフェアトレードのコットンを奨励するよう、法の整備を促すこと。
  9. コットン栽培と綿織物が人権や環境に与える影響をモニターする、世界的なマルチステイクホルダー・イニシアティブを推進すること。

(i) PAN / International Textile, Garment and Leather Workers’ Federation
(ii) Environmental Working Group www.ewg.org
(iii) Traidcraft cotton campaign question and answers see: www.traidcraft.co.uk/cotton