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【連載:第4回】「フェアトレードの10の指針」から

ピープル・ツリーも加盟する世界中のフェアトレード組織の連合体、WFTO(世界フェアトレード機関)は、フェアトレード団体が活動の際に順守すべき10の指針を定めています。

フェアトレードをするうえでもっとも重要な10の指針について、1つずつ、考えていく連載の4回目。今回のテーマは、「児童労働および強制労働を排除する」です。

バックナンバーもご覧ください。
「1. 生産者に仕事の機会を提供する
「2. 事業の透明性を保つ
「3. 公正な取引を実践する

4. 児童労働および強制労働を排除する

生産過程での強制労働を許さず、国連の「子どもの権利条約」および子どもの雇用に関する国内法や地域法を順守します。生産に子どもが関わる場合はすべて公開・監視の上、子どもの健全な生活や安全、教育、遊びに悪影響を及ぼさないようにします。

デリーのスラムで働く子どもたち

おどろくほど安い価格で売られている、きれいなアクセサリーや服。お店に美しく並べられているところを見ても、その背後に、インドのスラムで1日中アクセサリーをつくり学校に通えない子どもや、綿花畑で危険な農薬を使い作業する子ども、バングラデシュの縫製工場の劣悪な条件の中働く少女を想像することは難しいのではないでしょうか。

ILO発表の統計によると、世界には、5〜17歳の子どもが15億8620万人いて、うち2億1500万人が児童労働者です(2008年のデータ。ACEウェブサイトより:http://acejapan.org/modules/tinyd2/)。実に、子ども7人に1人が児童労働をしているという計算になります。1998年から、ワールドカップでは子どもが手縫いしたサッカーボールは使わないことが決まったのを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。

学校に行って将来のための勉強をしたり、友だちと遊ぶかわりに、働かなくてはいけない子どもたちがいるのはなぜでしょうか。一番の原因は、貧困です。親に仕事がなかったり、十分な収入がない場合、子どもが家族を支えるために早くから働きに出ていることが世界中で見られます。また親の借金の返済のために、債務奴隷として強制労働をさせられている子どもが多く報告されています。

また、子どもは安い労働力としても使われています。インドで先進国に向けてアクセサリーをつくる子どもたちは、大人の約3分の1の賃金で働かされているそうです。安さを執拗に求める経済構造も、児童労働を加速させています。

子どもたちが安く働かせられることで、かつてその仕事をしていた大人が職を失うという悪循環も発生します。さらに、子どもが教育を受けられないことで、大人になっても低賃金の職に就かざるを得ないという貧困の連鎖が生まれるのです。

ピープル・ツリーに手仕事で仕上げたビーズなどを使った美しいアクセサリーを届けてくれるインドのフェアトレード団体、「タラ・プロジェクト」は、児童労働をはじめとするインドの諸問題を解決することを目指し、活動家や教師により1973年に立ち上げられました。児童労働に反対するキャンペーンを展開するほか、働く子どものための学校を運営したり、今仕事に就いている子どもたちが短時間でも学校に通えるよう、雇用主を説得したりといった活動をしています。さらに、大人が貧困の連鎖から抜け出せるよう、アクセサリーの生産プロジェクトを行っており、ピープル・ツリーにも毎シーズン、職人の丁寧な手仕事が光るアクセサリーを届けてくれています。


タラ・プロジェクトから届く、大人が公正な賃金を得てつくったアクセサリー


もちろんそのほかの団体も、フェアトレードの取引に参加するには、子どもの成長を妨げる児童労働や強制労働がないことが条件になっています。

子どもが労働をせず、子どもらしい生活をできるようになるためには、大人が適正な賃金を得られる仕事に就くことが大切。フェアトレードで大切にしている、公正な賃金の支払いや生産者の能力向上の支援、継続的な取引などは、児童労働をなくすことにつながるだけでなく、コミュニティ全体のエンパワメントともなるのです。


2006年に行った、「みんなでスポーツ」キャンペーン。タラ・プロジェクトのアクセサリーの売上から、デリーの子どもたちにクリケット用具やゲームなどをプレゼントしました。