ピープル・ツリーUKの10周年
日本のピープル・ツリーの設立20周年にあたる今年は、イギリスの姉妹会社にとっても10周年という記念すべき年でもあります。日英双方の活動で、私たちの活動の中心には常に人と地球があり、ファッションが世界を変えるツールになることを証明してきました。フェアトレードというしくみを通じ、ファッションは人びとが貧困から抜け出し、安定した仕事に就き、生活賃金を得、コミュニティをはぐくみ、環境保護に投資することを可能にします。
日本からイギリスへ
ピープル・ツリーUKの設立は2001年。今からさかのぼること10年前、日本のピープル・ツリーでボランティアをしていたイギリス出身のイロラが、イギリスでもフェアトレード・ファッションを広めたい、と提案してきたのです。そこで私は昔の上司に電話をし、イロラほか少数のスタッフといっしょに事務所を運営してもらえるようお願いしました。今日では、ピープル・ツリーUKにはデザイン、広報、セールスを担う熱意あふれる25人のスタッフが、イーストロンドンのブリックレーンからすぐのオフィスで働いています。
フェアトレードの啓発・キャンペーン
ピープル・ツリーは常にキャンペーンや啓発活動を行っています。貿易はフェアでサステナブルに行うことが可能なのだと証明し、人を軽視した現在の貿易システムを変えたいのです。他団体との政策提言のほか、地域の組合やキャンペーン団体のサポート、フェアトレード・ファッションショーの開催、テレビ番組やショートフィルムの制作なども行っています。
人と地球にもっとやさしい貿易は可能だと強く信じています。私たちの信念を広めるために、さまざまな業界の人たちが力を貸してくれています。
フェアトレード・ファッションの進化
2007年は、ピープル・ツリーにとってのターニング・ポイントでした。雑誌「ヴォーグ ニッポン」の企画として、国際的に活躍するデザイナーのタクーン、ボラ・アクス、リチャード・ニコル、ファンデーション・アディクトとのコラボレーションを展開。フェアトレード生産者の手によって、美しいアイテムがつくられたのです。10年ほどピープル・ツリーの服づくりに携わってきた生産者たちのスキルがここまで上達していたことに、ピープル・ツリーのデザインチームも驚きを隠せませんでした。この企画をきっかけとして、デザイナーズ・コレクションはピープル・ツリーの毎シーズンの定番企画となりました。2009年には、イギリスの女優エマ・ワトソンとのコラボレーションが始まり、フェアトレード・ファッションへの大きな注目を集めるきっかけとなりました。