途上国支援とフェアトレード―買い物で世界を変える
ファッションと途上国の貧困
■ファスト・ファッションの向こう側 ─ファッションと途上国のつながり─
最近、日本でも人気のある「ファスト・ファッション」。
ファスト(早い)・ファッションとは、ファーストフードのように、そのシーズンのトレンドを素早く取り入れ、大量生産し、安く売られるファッションのこと。まるで使い捨てるかのように、店頭でめまぐるしく回転していく商品。誰が作っていて、なぜこんなに安いのでしょう?
日本のファッションの90%以上が、海外で作られ、輸入されたものです。そのほとんどが、バングラデシュをはじめとする途上国で作られています。そこで働く人たちのことを・・・考えてみたことはありますか?
■バングラデシュの衣料工場と、そこで働く労働者の家 ─途上国の現実─
世界でも最も貧しい国の一つとして挙げられるバングラデシュ。インドとミャンマーに国境を接しています。
ピープル・ツリー/グローバル・ヴィレッジ代表のサフィア・ミニーは初めてバングラデシュの首都ダッカで、縫製工場で働く人たちが住むスラムを訪れたときに、とても人の住むところとは思えず、あまりの光景に愕然したといいます。
今にも崩れおちそうな数メートルの竹の骨組みの上に建てられた家。しかも、水たまりの中に建てられていました。下水やごみ処理のしくみが整っていないので、生活排水やごみは全てこの水の中へ流れ込んでいます。 廊下にはむき出しの水道管やガス管が走り、足元に敷かれた板には隙間や穴がいっぱいあいています。小さな子どもならするりと落ちてしまいそうです。ここに何百人もの人たちが暮らしていました。
住人の多くが仕事を求めて農村から出稼ぎに来た人たちです。大人たちは4畳半に満たないほどの大きさの部屋に2,3人で寝泊まりしています。キッチンも3,4台のガスコンロを200人あまりが共同で使い、トイレもシャワーもひとつしかありません。ベッドとほぼ同じサイズの部屋で、家族全員がいっしょに寝ています。この地域には学校がないので、学校に通う年齢になった子どもたちは、親と離れて故郷に帰る事も多々ありますが、貧しさのために、12〜14歳で働き始めざるを得ません。
首都ダッカのスラムにある労働者の家々
■スウェットショップ─搾取される途上国の人びと─
強制労働、児童労働、低賃金労働、長時間労働、セクシャルハラスメントの問題など、人権を無視した悪い条件で労働者を雇って搾取している工場を、揶揄して「スウェットショップ(搾取工場)」と呼ぶことがあります。
その実態を知る為に、サフィアはある縫製工場を訪問しました。作業場に入ったとたん、むせかえるような熱気とホコリに圧倒されました。「スウェット(=汗)ショップ」と呼ばれる理由が分かったと言います。かじりつくようにミシンがけをする人のすぐそばで、床に座ってシャツやジーンズの仕上げや仕分けをする人たちがいて、通路は足の踏み場もありません。会話もなく、まるで奴隷のように毎日長時間、ぎゅうぎゅう詰めのところで作業を行っていました。
そこで働く労働者たちは、1日12〜16時間、工場でミシンを踏み続けても、生活に必要と言われる賃金の3分の1程度しかもらえません。それでも他に選択肢がないので、仕事を続けざるをえないのです。
ところが、先進国でのファスト・ファッションの流行で、衣料品工場はもっともっと安い金額でものを作ることを求められ、人件費が削られ、状況はますます悪化しています。
「サフィアのブログ」にて、ファスト・ファッションの本当のコストという厳しい現実について、衣料産業で働く人びとの権利を求めて運動している、バングラデシュ衣料産業労働者組合連合(NGWF)の代表、アミンさんとサフィアの対談をしました。ご覧ください。
フェアトレードとは ─途上国支援と自立への道─
■フェアトレードとピープル・ツリーの事業 ─公正な貿易という支援─
バングラデシュなど途上国の人たちが貧しい理由の一つに、先進国によるアンフェアな貿易があります。販路を持たない立場の弱い生産者に対し、先進国側が非常に安い賃金しか払わないのです。
それに対して、フェアトレードとは、商品に見合う公正な価格で取引する貿易を言います。
ピープル・ツリーのフェアトレードとは、さらに進めて「人と地球にやさしい貿易」を目指し、行っています。アジアやアフリカ、中南米など途上国の女性や小規模農家をはじめとする、社会的・経済的に立場の弱い人々に仕事の機会を作り出し、公正な対価を支払うことで彼らが自らの力で暮らしを向上させ、自立できるよう支援します。
■フェアトレードの村 ─自立する人びと─
貿易がフェアになると、作り手の生活はどう変わるのでしょうか?
ダッカから北西、タナパラ村という農村があります。村のそばには川が流れ、川の土手にはツバメが巣をつくっています。川では子どもたちが元気に遊び、村の中では、女性たちが屋外で料理をしています。
この昔ながらの暮らしが残る村に、ピープル・ツリーが10年以上にわたっていっしょに製品づくりをしている、フェアトレード団体「タナパラ・スワローズ」があります。200人以上の女性たちが、手織りや手刺繍の伝統技術を活かし、洋服作りに携わっています。
女性たちの賃金は、都市のスラムに住み衣料品産業で働く人の2倍ほど。タナパラ村のような農村では、都市に比べて物価が3分の1程度と低く、さらに女性たちは自分で鶏や野菜を育てているので、毎月貯金をすることもできます。スワローズで働く女性たちの家には、電気が通い、雨がもらない屋根、井戸、ラジオなどがありますが、近隣に暮らす人びとの間では25%しか同様の設備を手にすることができません。また、近隣の子どもたちが12歳で学校を離れ働く始めるのに対し、お母さんがスワローズで働く子どもたちは17歳まで学校に通うことができています。フェアトレードによって、人びとは収入を得られるだけでなく、安全な家や教育の機会を手にすることができ、村の発展にもつながっていくのです。
2010年に、末吉竹二郎さんと末吉里花さん親子が、「タナパラ・スワローズ」を訪れました。
詳しい現地のレポートをこちらよりご覧ください。「バングラデシュにフェアトレードの村を訪ねて」
ふだん何気なく着ている服が、途上国の環境や貧困問題とつながってると知って驚く人は少なくありません。自分がお店で選んだ服の陰に苦しんでいる人がいるかもしれない。フェアトレードの製品を買うことで、途上国の貧しい人たちに仕事の機会を提供することができます。それが途上国支援につながっています。つまり、フェアトレードは誰でも参加できる国際貢献です。
■フェアトレード商品と情報の流れ
フェアトレードが支援するのは、途上国の中でもさらに立場の弱い、農村部の女性や小規模農家、都市のスラムに住む人びとなどです。
このような人びとが、ものをつくることを通じて自立を果たすことができるよう、ピープル・ツリーは現地のNGOや共同組合と連携して、日本の消費者との橋渡しをします。
ピープル・ツリーは、商品がどこで誰によってどのようにつくられたかという情報を、商品と共に伝えます。消費者は、商品を買うという行動を通じて、貧困や環境破壊といった問題の解決と途上国支援に参加することができるのです。

途上国の生産者と生産現場を動画と写真で体験!フェアトレード・バーチャル・ツアー
フェアトレードの商品はどのようにつくられるのでしょうか。さまざまな手仕事がかかわるピープル・ツリーの商品は、たくさんの人の手を必要とするため、より多くの人に仕事の機会をつくることができるのです。作業場に響く音、吹き抜ける風、そしてそこで働く人たちの息づかい。
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ピープル・ツリーの商品を作ってくれる途上国の生産者の紹介
クムベシュワール・テクニカル・スクール
(ネパール)
クムベシュワール・テクニカル・スクール(KTS)は、ネパールの首都カトマンドゥの貧しい人びとに 職業訓練と仕事の機会を提供する組織です。
KTSの紹介、つづきはこちら≫
ミンカ(ペルー)
「ミンカ」はペルー全土で社会的・経済的に立場の弱い先住民や都市の貧困地域に暮らす人びとが手工芸品作りで収入を得られるよう支援している非営利団体です。
ミンカの紹介、つづきはこちら≫
アーティザン・ハット(バングラデシュ)
バングラデシュのノルシンディ地方では、1990年代の末から、機械化の波に押されて多くのはた織り職人たちが仕事を失いました。職人たちの支援を目的に設立されたフェアトレード団体「アーティザン・ハット」は、ピープル・ツリーの発注を受けて手織り生地を使った衣料品を作りはじめ、90人の職人が仕事に戻ることができました。
アーティザン・ハットの紹介、つづきはこちら≫
フォーク・バングラデシュ(バングラデシュ)
「フォーク・バングラデシュ」は、社会的に立場の弱い人びとに仕事の機会を創り出し、収入を得られるよう支援するバングラデシュのフェアトレード生産者団体です。
フォーク・バングラデシュの紹介、つづきはこちら≫
タナパラ・スワローズ(バングラデシュ)
タナパラ・スワローズが活動を始めたのは1970年代初頭。1971年のパキスタンからの独立戦争で、バングラデシュ北西部のタナパラ村の成人男性 200人は皆殺しにされました。一家の働き手を失った女性たちを支援するプロジェクトとして、スウェーデンのNGOによってタナパラ・スワローズが設立されました。
タナパラ・スワローズの紹介、つづきはこちら≫
アシシ・ガーメンツ(インド)
インド・タミルナドゥ州にある縫製団体。カトリック系アシシ修道会の修道女により始められました。ピープル・ツリーと取引を始めた1996年には、聴覚に障害を持つ3人を含む8人の女性が働いていましたが、フェアトレードの仕事により、現在は300人を超えるスタッフと2つの工場を抱えるまでに成長しました。
アシシ・ガーメンツの紹介、つづきはこちら≫
ボンボルル・ワークショップ(ケニア)
ピープル・ツリーのアクセサリー製品の一部を作っているボンボルル・ワークショップはケニアの沿岸部、モンバサの街の中にあります。身体に障害をもつ人びとのリハビリセンターとして1969年に設立されました。
ボンボルル・ワークショップの紹介、つづきはこちら≫
タラ・プロジェクト(インド)
インドでは貧困のため学校に行かずアクセサリー作りに従事する児童の例が多数報告されています。貧困に苦しむ人を支援するため1973年に設立されたタラ・プロジェクトは、不法児童労働をなくすためのキャンペーンを行ったり、働く子どもたちの学校を運営するとともに、成人の労働者が貧困の悪循環を抜け出せるように、アクセサリーなどの生産プロジェクトも運営しています。
タラ・プロジェクトの紹介、つづきはこちら≫






























