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【連載:第3回】「フェアトレードの10の指針」から

ピープル・ツリーも加盟する世界中のフェアトレード組織の連合体、WFTO(世界フェアトレード機関)は、フェアトレード団体が活動の際に順守すべき10の指針を定めています。

フェアトレードをするうえでもっとも重要な10の指針について、1つずつ、考えていく連載の3回目。今回のテーマは、10の指針の3つめ、「公正な取引を実践する」です。

前回、前々回の記事もあわせてご覧ください。
1. 生産者に仕事の機会を提供する
2. 事業の透明性を保つ

3. 公正な取引を実践する

バイヤーと生産者は、連帯と信頼、互いへの思いやりに基づき長期的な取引を行います。小規模生産者が社会的・経済的・環境的に健全な生活ができるよう配慮して取引し、利益を優先することはありません。また要望があれば、バイヤーは生産者に収穫や生産に先だって前払いを行います。

インド・デリー近郊のスラムにある作業所でアクセサリー類をつくり働く子どもたち。子どもの賃金は大人の3分の1ほどと言われる。

フェアトレードでは、利益ではなく人と地球を最優先に貿易を行います。

現在の貿易システムの大部分では、利益を最大にするために、つくり手の生活や環境への配慮が後回しになりがちです。利益や安さを最優先に追求するとき、そのしわよせは、末端の生産者のところにやってきます。結果として、働いても働いても人間らしい暮らしができないほどの低賃金しか得ることができなかったり、長時間労働、さらに安い労働力として子どもが使われたり、といった悪循環が起きるのです。


インドのフェアトレード生産者団体タラ・プロジェクトでは、大人がアクセサリーをつくり、労働に見合った賃金を受け取っています

フェアトレードでは、社会的に弱い立場に置かれている生産者たちが社会的・経済的・環境的に健全な生活ができるよう配慮して取引を行い、利益のために彼らを犠牲にすることはありません。対等なパートナーとして、途上国の小規模な生産者団体は求められる品質と仕様を満たした製品をスケジュールどおりに届け、先進国のフェアトレード団体は、資金面や技術指導、商品開発などで生産者団体を支援すると同時に、自国でフェアトレードをひろめ、市場を拡大するよう努めます。


地元で採れるヤシの葉を使って製品づくり

ただし、単に「対等なパートナー」といっても、フェアトレードを継続していく資金力や市場へのアクセスといった面で生産者団体と先進国のフェアトレード団体の置かれている状況は大きく異なるため、フェアトレード団体は、生産者団体が国際的な競争力を持てるよう支援していく必要があります。

生産者団体の財政的に不利な状況を考慮して、商品を買うフェアトレード団体は、商品を発注する時点で必要に応じて代金の50%を前払いしています。ピープル・ツリーの場合、前払いのタイミングは商品が実際に店頭にならぶ8カ月も前になります。資金繰りは大変ですが、そのお金を使って、生産者団体は生産に必要な材料を購入したり、商品ができあがって残りの代金が届くまでの期間、従業員の給与を支払ったりすることができるのです。さらに、生産をスタートするために、金利の高い現地の金融機関から借り入れをしなくてすみ、生産者たちの資質向上に投資する力を最大限に与えてくれます。


生産者さんたちとサフィア

また、指針の文中に出てくる「連帯と信頼、互いへの思いやり」とは、具体的にどういうことでしょうか。
たとえば、何らかの事情で注文をキャンセルしたり返品したりする前に、買う側のフェアトレード団体は生産者団体と話し合いの機会を持ちます。生産者に落ち度がないのに注文をキャンセルする場合は、すでに終えた作業に対して適切な支払を行います。輸送に問題がある場合は生産者団体はバイヤーと協議を行い、発送した数量や品質が送り状と一致しないときは補償金を支払います。

当たり前に聞こえますが、バイヤー(買う側)とサプライヤー(売る側)が対等なパートナーでなくなったとき、その「当たり前」が実行されていない現実があります。生産者団体へのアンケートによると、フェアトレードではないバイヤーとも取引のある生産者団体の大半が、発注の取り消しや支払いの遅延、極度の低価格、際限ない値引き交渉などを経験し、取引をやめたいと思ったことがあります。フェアトレードのバイヤーからの注文だけで団体を継続できるようにするためには、フェアトレードの市場を広げていかなくてはなりません。

以前ピープル・ツリーで、こんなことがありました。ネパールから届いた手編みのニット帽が、こちらからの指示と異なり、だいぶ小さくあがってきたのです。このときは、生産者側に手違いがあったのですが、なんとか返品する以外の道がないかと考え、子ども用として販売することに決めました。

フェアトレードで大切なのは、お互いをパートナーとして信頼し、長期的な関係を築くこと。長期的な取引を前提とすることで、生産者団体や、そこで働く人たちも、将来の計画を立て投資を行うことができます。それを可能にするため、パートナーと密なコミュニケーションをとることで、フェアトレードをさらに広めることを目指しています。

つくり手が不利な立場に置かれている、現行の貿易システムを変えて行くこと。さらに、魅力的な商品を開発することによって市場をひろげ、途上国の生産者への発注を増やし、公正な貿易によって生産者の自立を応援すること。そうすることで、消費者にとっても、つくり手の顔が見え、ぬくもりあふれる商品、そして安心を手に入れられる、関わるみんながハッピーになれる関係を目指します。